Catherine & Bernadine:コンパクトキッチンに最適な調理器具ファミリーの特徴と選び方

Published on: | Last updated:

最近、ちょっと思ってたんだけど…。

モノにも、なんか…魂みたいなの、あるのかなって。いや、別にスピリチュアルな話じゃなくて。ただ、そこにあるだけで、重みとか、存在感とか…そういうのを感じるモノと、そうじゃないモノがある気がするんだよね。

僕の家には、そういうモノが二つある。キャサリンと、バーナディン。…うん、グラスと、お皿なんだけど。いつの間にか、そう呼んでた。

キャサリンの話

キャサリンは、タンブラーグラス。たぶん90年代の後半くらいから、ずっと家にある。母親に聞いても、父親と会う前に買ったのか、それとも元々父親の家にあったのか、覚えてないらしい。…まあ、正直どっちでもいいんだけど。

大事なのは、その佇まいというか。今のグラスと違って、重いんだよね。ずっしりと。手に取ると、「ああ、今、何かを持ってるな」って、ちゃんとわかる重さ。最近のも重いのあるじゃんって言われるかもしれないけど、その…質の違う重さ、かな。

キャサリン。このざらっとした質感が、なんかいいんだよね。
キャサリン。このざらっとした質感が、なんかいいんだよね。

表面が、なんていうか…少しざらついてる。溶かされた砂の粒を、指でなぞれるような感じ。で、側面には何本か、筋みたいなのが盛り上がってて。これがまた、持つときにいい感じに引っかかる。無意識に、その存在を感じるんだよね。ああ、ちゃんと考えて作られたんだな、って。長持ちさせるために、そこに「在る」ために作られたんだなって思う。

唇に触れる縁の部分も、少し分厚くて、丸い。これがまた良くて。…飲み物を飲んで、グラスを離す瞬間、ちょっと名残惜しい感じがする。キャサリンは、自分のことを忘れさせない。そういうグラスなんだ。

何回か、床に落としたこともある。でも、不思議と割れないんだよね。キャサリンよりずっと後に買ったグラスなんて、もう何個も割れて捨てちゃったのに。でも、こいつは、ずっとここにいる。なんか、そういうところに、深くつながってる感じがするんだ。

もう一つの相棒、バーナディン

もう一つが、バーナディン。こっちはスープボウル。これも、僕より年上。

…なんでだろう、これ使ってラーメンとか食べると、妙に美味しく感じる。ちょっとだけ、韓国ドラマの屋台で食べてる気分になるんだよね。気のせいだってわかってるんだけど。

バーナディン。家族には「デカくて古い」って言われるけど。
バーナディン。家族には「デカくて古い」って言われるけど。

家族には、ちょっと不評。「大きすぎる」とか「花柄が古い」とか言われて。まあ、確かにそうかもしれない。でも、僕にとっては、そういうのどうでもよくて。大事なのは、この重さと、信頼感。

バーナディンには、今の軽いセラミックの器にはない、自信みたいなものがある。テーブルに置いた時、「ドン」っていう、低い、落ち着いた音がする。雑に置いても、変に滑ったり、カチャカチャ言ったりしない。これも、何度も落下の危機を乗り越えてきた猛者。キャサリンほどじゃないかもしれないけど、簡単には壊れないっていう安心感がある。

この二つを見てると、なんか、わかってもらえてる気がするんだ。「頑丈で、そこにちゃんと居て、信頼できる」。僕が、たぶん、すべてのモノに期待してること。それを、この二つは体現してくれてる。

じゃあ、どうやって「本物」を見つけるか

じゃあ、どうやってキャサリンやバーナディンみたいなモノを見つけるかって話だけど…正直、感覚的なものも大きい。でも、あえて言葉にするなら、こんな感じかな。個人的な見分け方だけど。

長く使えるモノの特徴、かも すぐダメになるモノの特徴、かも
ずっしり重い。ちゃんと「ここにいるよ」って感じがする。 持ってる気がしないくらい軽い。ちょっと不安になる。
触ると素材の感じがわかる。ザラザラとか、木の感じとか。 ツルツル、ピカピカ。でも傷つくとめちゃくちゃ目立つやつ。
デザインは…ちょっと古臭い?でも、それが逆に落ち着く。 「今年の流行り!」って感じのデザイン。来年はもう使えないかも。
根拠はないけど、落としても大丈夫そうな安心感。作りがしっかりしてる。 あ、これ絶対割れる…って思う、あの感じ。華奢すぎる。
機能がシンプル。余計なものがついてない。 機能がいっぱい。でも、結局一つしか使わない、みたいな。

使い捨て文化と「もったいない」の間で

昔の上司がよく言ってたな、「スピード・トゥ・マーケット」だって。市場に早く出すことが正義、みたいな。原文にあったけど、まさにアメリカ的な考え方だよね。品質よりも、スピード。結果、市場には選択肢が溢れかえる。そして、丈夫で無骨なタンブラーじゃなくて、見た目が派手な、キラキラしたやつが選ばれていく。

ファストファッションとか、まさにそれ。安くて、すぐ手に入って、ワンシーズンで捨てる。そういう消費の仕方が、もう当たり前になってる。…でもね、日本には昔から「もったいない」って言葉があるじゃない?

あれって、ただ「無駄遣いするな」って意味だけじゃないと思うんだ。モノに対する敬意とか、作ってくれた人への感謝とか…そういうのが全部含まれてる気がして。最近のアメリカのミニマリズムとかとも、ちょっと違う、もっと精神的なもの。その感覚が、どんどん薄れていってる気がするんだよね。

新しいものを買う前に、一度立ち止まる。金継ぎみたいな考え方、好きだな。
新しいものを買う前に、一度立ち止まる。金継ぎみたいな考え方、好きだな。

でも、正直しんどい時もある

…なんて偉そうなこと言ったけど、正直、この考え方で生きるのって、結構しんどい時もある。周りはみんな新しいスマホとか、流行りの服とか買ってるし。そっちの方が、楽なんだよね、正直。何も考えずに、欲しいものを欲しい時に買う。その方が、たぶん、楽しい瞬間は多い。

良いものを探すのは時間もかかるし、お金もかかることが多い。それに、「こっちの方が長持ちするから」なんて言っても、理解されないことの方が多いしね。自己満足、って言われれば、まあ、そうなのかもしれない。

だから、別に声高に「みんなもこうしろ!」なんて言うつもりは全然なくて。ただ、僕は、僕の周りだけは、キャサリンとかバーナディンみたいな、信頼できるモノたちで固めていたい。それだけなんだ。

次に何かを買うとき、もし思い出したら、ちょっとだけ考えてみてほしい。これは、自分の「キャサリン」になり得るだろうか、って。

あなたの家にも、キャサリンやバーナディンみたいな、名前をつけたくなるようなモノ、ありますか?もしよかったら、どんなモノか、どんな物語があるのか、教えてほしいな。

Related to this topic:

Comments