最近、ネットで「小屋税」って話、見たことあります?🤔 イギリスで「庭の小屋にまで税金をかける気か!」みたいな見出しが飛び交って、SNSが大騒ぎになってるやつ。
アンジェラ・レイナーっていう政治家の名前とセットで、「庶民イジメだ!」とか「中世の税金徴収人かよ!」なんてコメントが溢れてる。まあ、気持ちはわかる。僕も最初見たとき「マジか…」って思ったし。😅
でもね、正直なところ、この話、ほとんどがデマというか…かなり誇張されてるんだよね。今日はそのカラクリについて、ちょっとだけ自分の頭の整理も兼ねて話してみようかなって思います。
そもそも「炎上する税金ネタ」って、どうやって作られるの?
これ、実は結構パターンが決まってるんですよ。最近のクリックベイト、つまり「釣り見出し」記事が、税金の話になると使う、なかなかタチの悪い手法があるんです。
だいたいこんな感じ。
- まず、ちょっと名前が残念な、でも中身は合理的な政策を見つけてくる。
- その政策が「何のためにあるのか」っていう文脈を、きれいさっぱり取り除く。
- 歴史上、本当にあった「アホみたいな税金」の話を持ち出してきて、印象操作をする。
- あとは、事実が広まるより速く、怒りの感情が拡散するのを待つだけ。
今回騒がれてるイギリスの「小屋税」とか、ドイツの「雨水税」なんてのは、まさにこの教科書通りの手口。見事にハマっちゃってるわけです。
で、本当のところはどうなの? 表で比べてみた
じゃあ、釣り見出しが言ってることと、実際のところを比べてみましょうか。ごちゃごちゃしてるから、簡単な表にまとめてみた。
| 税金の俗称 | クリックベイトの主張(みんなが怒ってること) | 実際のところ(本当の話) |
|---|---|---|
| イギリスの「小屋税」 | 庭にある物置とか、趣味の小屋とか、とにかく全部の建物に税金をかけようとしてる!ひどい! | いや、全部の小屋じゃないんだよ…。キッチンとか寝室がある、もう「家」として生活できちゃうレベルの「離れ」を、ちゃんと住居として再分類するって話。普通の物置や温室は関係ない。😮💨 |
| ドイツの「雨水税」 | ドイツ政府、とうとう空から降ってくる雨にまで課税し始めたらしい。税金とるものが尽きたんだな…。 | これも全然違う。雨そのものじゃなくて、アスファルトみたいな舗装された地面から下水道に流れ込む「雨水」の処理費用を、土地の所有者が負担するって仕組み。水を地面に浸透させる庭とかがあれば、逆に安くなる。環境負荷の応分負担、みたいな感じかな。 |
| ドイツの「太陽税」 | 信じられる?今度は太陽の光に税金をかけるんだって。究極の政府の暴走だろ、これ。 | これもデマ。太陽光に税金なんてないです。話の元は、太陽光パネルの所有者に対する送電網の利用料に関する議論だったりする。というか、ドイツはむしろ再生可能エネルギーを増やすために、2023年に太陽光パネル設置にかかる付加価値税を撤廃してる。真逆だよね。 |
こうやって見ると、全然印象が違うでしょ?「小屋税」って言われると、庭の隅にあるボロボロの物置にまで税金がかかるイメージだけど、実際は「庭に建てたもう一つの家」が対象ってこと。そりゃ、一つの敷地に家が二つあるなら、税金の考え方も変わるよね…っていう、わりと地味な話なんです。
昔の「トンデモ税金」と今の税金、何が違うの?
ここでクリックベイトが巧妙なのは、歴史上の「本当にあった変な税金」を引っ張り出してくるところ。これがミスリードを誘うんだ。
例えば、イギリス史には本当にあったんですよ、こういうのが。
- 窓税 (1696–1851): これ、マジであった税金。窓の数に応じて課税されたから、人々は税金を逃れるために窓をレンガで塞いじゃった。今でもイギリスの古い建物見ると、不自然に塞がれた窓があったりする。
- 壁紙税: 壁紙に税金がかかったから、代わりに壁に直接花の模様を描くのが流行ったとか。
- トランプ税: 娯楽にまで税金が…。
- レンガ税: レンガ一個あたりに課税されたから、税金を節約するために、より大きなサイズのレンガが発明された。
- 帽子税: そう、帽子にも税金がかかった時代があったんです。
これらの税金は、正直言って、公共の利益になるような目的はほとんどなくて、ただ税収を増やすためだけだった。結果として、健康を害したり(窓を塞いで暗くて風通しの悪い家に)、イノベーションを阻害したり、ろくなことにならなかった。
クリックベイトは、こういう「昔のトンデモ税金」と、現代の「インフラ維持費」みたいなものを、わざと並べて見せるんです。「ほら見ろ、政府ってのは昔からいつもくだらないものに税金をかけたがるんだ。今回もその一つさ」って言いたいわけ。
でも、これは典型的な「すり替え」だよね。昔のトンデモ税金と、今の(一見すると変に見える)税金では、根本的な目的が違うことが多い。
- 昔の税金: 目的はほぼ「税収」だけ。人々の行動を良い方向に導くインセンティブなんてものは無い。
- 今の税金: 「インフラコスト」や「環境問題」といった、現実的な課題に対処しようとしていることが多い。節水したり、エコな行動をすれば負担が減る、みたいなインセンティブ設計がされている場合もある。
そもそもイギリスの地方税がヤバいって話
この「小屋税」騒動がもっと根深いのは、イギリスの地方自治体の財政が、もう限界に来てるっていう背景があるから。
介護費用はインフレ以上に高騰してるし、中央政府からの補助金は全然追いついてない。かといって、ビジネス税や住民税にあたるカウンシル・タックス(Council Tax)は、勝手に上げられないように上限が決められてたりする。
しかも、このカウンシル・タックスの税額の基準になってる不動産評価額、なんと1991年から見直されてないんだって。30年以上前だよ?これ、日本でいう固定資産税の評価替えが30年以上行われてないようなもんだから、そりゃ歪むよね。当時8万ポンドだった家が今40万ポンドになってても、税金の区分は同じまま、みたいなことが起きてる。
日本では、総務省の定めによると、土地と家屋の固定資産税評価額は原則として3年ごとに見直される(評価替え)。これがあるから、資産価値の変動がある程度は税額に反映されるけど、イギリスではそれが完全にストップしてる。ちなみにイギリスの不動産評価はValuation Office Agency (VOA)っていう機関が担当してるんだけど、ここが再評価をしない限り、古い基準のままなんだ。
そんな状況で、自治体は法律で定められたサービス(介護とか)を提供しなきゃいけない。でもお金がない。…そうなると、どうなるか? 今あるルールの中で、これまで見逃してきた部分を厳格に適用して、なんとか税収を確保しようとするしかない。だから「庭の離れ」の再分類に躍起になるわけ。これって「小屋税」っていう新しい税金じゃなくて、もう機能不全に陥ってる地方財政システムの「症状」なんだよね。
この話、なんでそんなに重要なの?
「たかが税金の話でしょ?」って思うかもしれないけど、これはもっと大きな問題なんだ。つまり、デジタル時代にデマがどうやって社会を蝕んでいくかっていう話。
クリックベイトが、本当は合理的な政策を「トンデモ税金」に見せかけることに成功すると、
- 感情的な反発が先に立って、中身のある議論ができなくなる。
- 社会を良くするかもしれない政策の、冷静なコスト分析ができなくなる。
- 「どうせ政府のやることは全部怪しい」ってなって、行政への信頼が失われる。
- 本当に対処すべき問題(例えば財政危機そのもの)が放置されて、存在しない問題で大騒ぎすることになる。
皮肉なことに、「小屋税だ!」って怒ってる人たちが住んでる地域で、まさに財政難が原因で図書館が閉鎖されたり、道路の穴が修理されなかったりしてるかもしれないんだよね…。
本来なら「じゃあ、必要な公共サービスを維持するために、どうやって公平に財源を確保すればいい?」って議論になるべきなのに、「政府が俺の小屋に税金をかけようとしてる!」っていう、的外れな怒りにすり替わってしまう。これって、すごくもったいないし、危険なことだと思う。😮💨
じゃあ、僕らはどうすればいい?
次にネットで、こういう「え、マジで?ありえない!」みたいな税金の話を見かけたら、脊髄反射でシェアする前に、一瞬だけ立ち止まって、こう自問自答してみるといいかもしれない。
- 本当の政策って何?: 扇動的な見出しの向こう側にある、一次情報とか、信頼できるニュースソースを探してみる。
- 何を解決しようとしてるの?: どんな政策にも、たいていは解決しようとしている「問題」がある。それが何なのかを考えてみる。
- 現状で得してるのは誰?: 時には、変な税金に見えるものが、今のシステムを変えようとする試みだったりする。その「今のシステム」で誰が利益を得ているのか考えると、背景が見えやすい。
- 代案はある?: 「このやり方はダメだ!」って言うのは簡単だけど、「じゃあ、どうすればいい?」まで考えてみる。
さっきの「窓税」を基準に考えてみるのもいいかもね。「この新しい税金は、窓税みたいに、ただ税収目的で、人々の健康を害して、何のメリットもないものか?」って。もし答えが「No」なら、それは歴史のトンデモ税金とは違う、もっとちゃんと議論すべき対象なんだと思う。
本当のスキャンダルは、存在しない「小屋税」なんかじゃない。図書館が閉まり、介護が崩壊していく一方で、僕らが「庭の小屋に税金がかかるか」なんていう、どうでもいい議論に時間を浪費させられていること、そのものなのかもしれないね。
…と、まあ、今日はこんな感じで。ちょっと考えさせられる話でした。
こういう「それっぽいデマ」、最近何か見かけたことありますか?もしあったら、どんな話だったか、もしよければ教えてほしいな。🤔
