リノベーション恋愛記録:空間改造と関係性の変化を追う実例ストーリー

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最近、ふと考えてたんだ。乳がんの治療…化学療法とか、放射線治療、ホルモン療法とか、そういうのが全部、願わくば過去のものになった頃。私はハドソンバレーに、いわゆる「ボロ家」を買った。自分自身を立て直している間に、何か目に見えるものを修理したかったんだと思う。

でもね、すぐに分かったことがある。一部の男の人たちにとって、ボロボロの家と格闘してる私は、まるで「助けを待つお姫様」みたいに見えたらしい。彼らがハンマーで叩いて元通りにしてあげられる、みたいなファンタジーの対象に。彼らはベッドを置こうかとか、棚を作ろうかとか、雨どいを掃除しようかとか、色々申し出てくれた。私は、そのお返しに夕食とか、一緒に過ごす時間とか…そして、もしかしたら愛を、って期待してた。でも、ほとんどの人は、一度うちに来たら、さっさとどこかへ消えてしまった。

先說結論

結局、この家も、私の人生も、誰かが「修理」してくれるわけじゃなかった。本当に頼れるのは、自分自身だけ。…うん、痛いほどシンプルな答えだったな。

家と私を「修理」しようとした男たち

面白いことに、みんな口を揃えて「手伝うよ」って言ってくれる。でもその言葉の裏には、それぞれ違う思惑があったりして。正直、人間観察みたいになってたかもしれない。

一人目:ノッポの彼

じゃあ、一人目を「ノッポさん」と呼ぼうか。背が高くて、痩せてたから。当時よく使ってたマッチングサイトで出会ったんだ。私は家のリフォームなんて何も知らないくせに、ニューヨーク市から週末だけ逃げ出すための隠れ家として、そのハドソンバレーの家を買ったばっかりだった。

まだ車も持ってなくて、3回目の路上試験(理由は聞かないで…)のために教習所に通ってるような状態。移動はもっぱら長距離バスと、不動産屋さんの無限の忍耐力に頼りきり。

ノッポさんとは街で数回デートした。知的で、面白くて、話も上手。小さな高級ベッドの会社で働いてるって言ってた。彼に家の話をしたら、「工場に戻す予定のセカンド品のキングサイズベッドがあるけど、いる?」って。もちろん、いるに決まってる!

だから、彼が「家まで車で送るし、リフォームの経験もあるからシェアするよ」って言ってくれた時、宝くじに当たった気分だった。この人が、例の「最後の恋人」以来ずっと探していた「運命の人」…?なんて思ったりもして。

次の日曜日、二人でドライブして家へ。私の「豪邸」を見るなり、彼は「ポテンシャルはありますね」とかなんとか呟いてた。あ、これ、遠回しに「金食い虫」って言ってるな、ってすぐ分かった。私との関係は、この家との関係もセットだって、頭の中で計算してるのが見えた気がした。いくつか気のない提案をしてくれたけど、心ここにあらず、って感じ。

結局、数時間でニューヨークに戻った。次の週にディナーの約束があったけど、彼から電話があって「また今度にしない?」と。それっきり連絡が来なくて、こっちからメッセージを残したけど、返事なし。…コオロギが鳴いてるみたいに、シーンとしてた。すごく悩んだ末に、あのキングサイズベッドの件で、もう一回メッセージを残してみた。やっぱり、何もなし。今でいう「ゴースティング」ってやつを、多分人生で初めて経験した。家のせいでフラれたのは、これが最初じゃなかったけどね。

ボロボロだけど、可能性を感じた家
ボロボロだけど、可能性を感じた家

二人目:アーティストの彼

二人目のマークは、アーティスト。街でのパーティーで出会った。いい感じになって、連絡先を交換して。後日、彼が電話をくれて、彼のアパートでのディナーに誘われたのは、ちょっとした驚きだった。世界のレストランの中心地、マンハッタンで、家デートに誘う人なんて珍しいから。

彼は大工仕事もするらしくて、「週末に手伝いに行くよ」って申し出てくれた。私が疑いの目を向けると、「本気だよ、すごく楽しそうだし」って。…日本だと、いきなり男性が「家を直しに行くよ」なんて言ったら、ちょっと警戒しちゃうかも。でも、向こうだと割と自然なのかな、なんて考えたり。

その頃には、私も運転免許を取って、中古のホンダ・アコードクーペのオーナーになってた。スポーツカーには手が届かなかったけど、自分なりに気に入ってた車。彼の言葉を信じてみることにした。

でも、いざ家に来て、私が「ここの天井に羽目板を打ち付けるのを手伝ってほしい」って言ったら、彼は明らかに面食らってた。さらに、寝室は私の隣の別室だよって示したら、もっと面食らってた。…どうやら彼は、ハシゴの上で釘を打つより、もっと別の、楽しい週末の過ごし方を思い描いてたみたい。

当時の私は、がんの治療後の回復期で、まだ誰にでも自分の病歴を話せるような心境じゃなかった。すごく傷つきやすくなってて、自信もなくて、体もまだ「本調子」じゃなかったから。彼は状況に不満そうだったけど、それでも作業に取り掛かって、新しい天井を打ち付けてくれた。

罪滅ぼしに、近所の酒場で夕食をおごった。2005年の8月下旬。バーカウンターに座って、テレビでハリケーン・カトリーナの悲惨な映像が流れてるのを見てた。それを見たら、自分たちのちっぽけな問題なんてどうでもよくなった。一応、ロマンチックな雰囲気にもなろうとはしたけど…正直、何も覚えてない。次の日、彼をバス停まで送って、それっきり連絡は取らなかった。

慣れない手つきで、壁と、自分と向き合う
慣れない手つきで、壁と、自分と向き合う

三人目以降の、いろいろな人たち

その後も何人かいたな…。地下室の工事で雇ったジョン。元ジャンキーで、人生をやり直そうとしてた。応援したかったけど、彼は私を雇い主じゃなくて、女性として見てた。食事に誘われて、結局気まずくなって終わり。帰り道に「これ、デートだって分かってた?」って聞かれたけど、「友達だと思ってた」って答えるしかなかった。

DJもやってる年下のアーティスト、ロブもいた。彼は近所の家の工事をしてて、私がヨガに行く途中に口笛を吹かれたのがきっかけ。棚を作ってくれる代わりに、私が夕食を作る。そういうギブアンドテイクみたいな関係になったけど、彼は私にはちょっと情熱的すぎたかな。今でも時々街で見かけるけど、お互い笑顔で通り過ぎるだけ。

OKキューピッドで出会ったカイロプラクターのスティーブは、大工仕事もできる人。すごく優しくて面白かったけど、壮絶な離婚の真っ最中で。私が長期的な関係を求めてるって言ったら、引いてしまった。多分、彼も私も、まだ準備ができてなかったんだと思う。

地元のミュージシャンで不動産もやってるクリスは、完璧に見えた。教養もあって、ハンサムで、旅慣れてて、面白い。屋根に登って雨どいを掃除してくれたり、エアコンを直してくれたり。まさに私の理想の人!…って思ったんだけど、彼にはすぐに別の本命ができてしまった。まあ、そういうこともある。

結局、7人目で分かったこと

幸運なことに、7人目はうまくいった。この家を買う前から知ってた人で、時間が経ってから再会したんだ。彼は私の家を愛してくれて、そして私のことも愛してくれた。彼が日曜大工が得意だったのは、まあ、嬉しい誤算だったけど。

結局、この家と20年付き合ってきて学んだのは、この家が「修理完了」っていう過去形になることは絶対にないってこと。そして、分かったんだ。見返りを求めずに信頼できる「修理屋」は、自分自身だけなんだって。「よくやった」っていう満足感以外は、何もいらない。

家のリハビリに責任を持てるのが私だけであるように、私の人生のリハビリに責任を持てるのも、私だけなんだってこと。…うん、本当に、それだけだった。

結局、この景色も、この満足感も、全部自分で手に入れたもの
結局、この景色も、この満足感も、全部自分で手に入れたもの

出会った男たちを、ちょっとだけ整理してみる

こうやって振り返ると、なんだか面白いな。ちょっと表にでもしてみようか。頭の整理のために。

相手 きっかけ 彼らの「手伝い」 そして、結末
一人目:ノッポさん マッチングアプリ。当時はよく使ってたな…。 高級ベッドをタダであげる、という申し出。あとは口だけのアドバイス。 フェードアウト。ベッドの件で連絡しても無視。これがゴースティングか、と。
二人目:マーク パーティーでの出会い。アーティストで大工もできる人。 天井の羽目板を打ち付けてくれた。でも下心は見え見えだったかな。 一応作業はしてくれたけど…。気まずい夜を過ごして、それっきり。
三人目:ジョン 家の工事で雇った業者さん。人生やり直し中。 仕事はちゃんとしてくれた。でも恋愛対象として見られてしまった。 友人以上の関係は無理だと伝えたら、気まずくなって引っ越してしまった。
四人目:ロブ ご近所さん。年下のアーティスト兼DJ。 棚を作ってくれた。見返りは私の手料理。一種の取引みたいな。 価値観が合わなすぎた。今では会えば挨拶するだけの関係。
五人目:スティーブ OKキューピッド。カイロプラクター。 クローゼットの修理を手伝ってくれた。優しくて良い人だったけど…。 彼が離婚の最中で、私が真剣な関係を求めたら、お互い「まだ早い」ってなった。
六人目:クリス 地元の有名人。ミュージシャンで実業家。 雨どいの掃除からエアコンの修理まで。すごく頼りになったけど。 すぐに別の女性と真剣な交際を始めてしまった。まあ、縁がなかったんだね。

あなたの人生で、「修理」が必要だと感じた時、何に頼りましたか? 物、それとも人…? もしよかったら、あなたの話も聞かせてください。

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