家を「ホーム」と呼ぶ意味とは?暮らしに変化をもたらす心の持ち方とその理由

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リフォーム会社の「中の人」が、こっそり教える舞台裏の話

最近よく考えるんだけど、家をリフォームするって、みんなにとっては一大イベントだよね。夢のキッチン、広いリビング、子供部屋の増築…考えるだけでワクワクする。でも、その「夢」を形にする側の人間、つまり工務店とかリフォーム会社の人が、その裏側で何を考えて、何に頭を抱えてるか…って、考えたことある?

実は僕、昔そういう仕事を夫婦でやってたんだ。今日はちょっとだけ、その頃の話をしてみようかなって。正直、キラキラした話だけじゃない。むしろ、泥臭くて、ハラハラする話の方が多いかも(笑)。

すべては、ある奥さんとの出会いから始まったんだよね。僕らが会社を立ち上げたばかりの頃、手作りのチラシを配っててさ。そしたら一人の女性、ヘレンが話しかけてきたんだ。「裏庭の半分くらい使って、2階建ての増築ってできます?」って。

彼女の家は、奥に行くほど広くなる面白い形の土地で。彼女が話す「夢」を、僕はチラシの裏に必死でメモした。地下にはウォークアウト(外に直接出られるドア)があって、1階に2部屋、2階にはバスルーム付きで3部屋…。話を聞いてるだけで、こっちまで楽しくなっちゃってさ。

夢を書き留めた、一枚のチラシ
夢を書き留めた、一枚のチラシ

「ちゃんと私の話を聞いてくれた」…すべてはここから始まった

その夜、妻と二人でヘレンの夢をどう形にするか、めちゃくちゃ話し合った。でも正直、ちょっと不安もあった。僕らにとっては、自宅の次に手がける、まだ2件目のプロジェクトだったから。

次の日の夜、僕と妻はヘレンと、その旦那さんのヘンリーに会った。僕らが作った増築のプランをいくつか見せたら、ヘレンがすごく驚いてて。なんか、目に涙を浮かべてるんだ。

「家の周りを一周して、私の話をメモしただけで、ここまで…?」って。彼女は僕らの手を握って言ったんだ。「あなたたちは、ちゃんと私の話を聞いてくれたのね」って。

その一言で、僕もグッときちゃって。わかるんだよ、自分の夢を誰かに話しても、全然違う方向に進められちゃうあの感じ。だから僕らは約束したんだ。「あなたの夢を、僕らが現実にする。絶対に、あなたの想いを無視したりしない」って。

この「ちゃんと話を聞く」って、当たり前のようで、実は一番大事なことなんだよね。ただ家を「建てる」んじゃなくて、その人の「暮らし」や「夢」を形にする仕事だから。

「見積もり」の前に、もっと大事なこと

契約の話が進む中で、僕がまず切り出したのは、意外なことだったかもしれない。

「この家の壁をぶち抜いて増築するには、まず構造エンジニアを入れないとダメです」って。正直にね。

これ、すごく大事なポイントで。既存の家の屋根とか壁をいじるってことは、家全体の強度に関わるんだ。素人が適当にやると、後でとんでもないことになる可能性がある。だから、専門家(構造エンジニア)に「どこをどう補強すれば安全か」を計算してもらう必要がある。これは絶対ケチっちゃいけない費用なんだ。

この話をした時、旦那さんのヘンリーの目がキランと光ったのを覚えてる。「よし、じゃあそのエンジニアを呼んでくれ」って。この一言で、ああ、この人たちは信頼できるって、逆に僕らが安心したんだ。

これ、日本と海外でちょっと感覚が違うかもしれないね。例えばアメリカの住宅建築業者の団体、National Association of Home Builders (NAHB) なんかでも、こういう構造上の安全性に関する基準はすごく厳しい。一方で日本では、大手ハウスメーカーに頼むか、僕らみたいな地域の工務店に頼むかで進め方が違うよね。でも、どちらにせよ、国土交通省が定めてる建設業許可を持ってるような、しっかりした業者なら、こういう構造の安全性を無視するなんてことは絶対にないはず。見積もりの安さだけで選ぶと、こういう一番大事な部分が疎かになることもあるから、マジで気をつけて。

構造計算は妥協できない一線
構造計算は妥協できない一線

理想と現実のギャップ:現場で本当に起こること

契約も済んで、いざ着工!…って、ここからが本当の戦いの始まり(笑)。リフォームの現場って、計画通りに進むことなんて、まずないんだ。

これは僕らが実際に経験した、計画外のトラブルとその対応。もしあなたが業者を選ぶなら、「こういう時、どうするんですか?」って聞いてみると、その会社の姿勢がわかるかも。

計画外のトラブル どう対応したか?(ここが大事!)
基礎のために穴を掘ったら、4日間も雨が降り続いた… 最悪!穴がプールみたいに…。結局、水が引いて地面が乾くまで1週間待つことに。施主さんには正直に状況を伝えて、全体のスケジュールを組み直した。隠さず、すぐに報告するのが鉄則。
コンクリートの壁にヒビが! これは施工業者のミス。でも、「このくらい大丈夫」なんて絶対言わない。業者負担で全部やり直してもらったよ。だって、この壁が家全体を支えるんだから。品質に妥協したら、もう終わり
職人さんのスケジュールが… 一つの遅れが、電気屋、水道屋…すべての職人さんの予定に響く。もう、電話調整でてんてこ舞い!普段から職人さんたちと良い関係を築いておいて、「こっちの現場がダメなら、あっちをお願い!」みたいに、なんとか調整する。日頃の信頼関係がものを言うんだよね。

ね? 大変そうでしょ? でも、こういうトラブルが起きた時にどう動くかで、その業者の真価が問われるんだ。僕らはヘンリーに言ったよ。「新築の壁にヒビが入ったまま始めるなんてありえない。ここから水が入ったらどうするんですか」って。時間はかかったけど、彼らは僕らの対応をすごく評価してくれた。

焦る気持ちはわかる。でも、待つのも仕事のうち

外壁ができて、窓も入って、家が雨風をしのげるようになると、施主さんは内装が気になってくるんだよね。ヘレンから電話がかかってきた。「ねえ、中の作業はいつから?新しいバスルームがどうなるか、待ちきれないわ!」って。

気持ちは、痛いほどわかる。僕らも自宅をリフォームした時、配線と配管工事の2週間がめちゃくちゃ長く感じたから。でも、僕は彼女にこう言ったんだ。「興奮するのはいいけど、焦らないで。電気も水道も、工事が終わったら検査官の承認が必要なんだ。それを待たないと、壁を立てられないからね」って。

内装って、実はすごく繊細な作業の連続なんだ。例えば、壁紙を貼る前の下地処理。これをサボると、すぐに傷がついたり、綺麗に仕上がらなかったりする。職人さんの中には、めちゃくちゃ集中したいから、施主さんがウロウロしてると仕事にならないって人もいる。僕らが頼んでた腕のいい職人さんもそのタイプでさ。

だからヘレンに冗談で言ったんだ。「彼はミケランジェロみたいなものだから。システィーナ礼拝堂の天井画を描いてる時は、邪魔しちゃダメでしょ?」って。そしたら、そのあだ名が現場で定着しちゃって、ちょっと気まずかったけど(笑)。

ついに完成した「夢」の空間
ついに完成した「夢」の空間

夢の終わりと、それでも残ったもの

そんなこんなで、夏から始まった工事は、雪が降る前の感謝祭の頃に、ついに終わった。最後のペンキが乾いて、ピカピカになった部屋を見渡した時の達成感は、今でも忘れられない。

僕らは8年間で500件近くの家を手がけた。いつも6つくらいの現場を同時に進めてて、毎日が本当に戦場だった。でも、楽しかったんだ。人の夢が形になる瞬間に立ち会えるんだから。

…でも、そのビジネスは、2008年のリーマンショックで終わりを迎えた。景気が悪化して、人々は仕事を失い、僕らが契約を進めていたプロジェクトも、みんなキャンセルになった。僕らには大きな資本がなかったから、損失を抱えたまま続けることはできなかったんだ。

まるで、一番盛り上がってきたところで打ち切りになった小説みたいだった。すごく悔しかった。でも、失ったものばかりじゃなかったな、って今は思う。

僕らが築いたのは、家だけじゃなかった。お客さんとの信頼関係、職人さんたちとの繋がり、そして何より、誰かの夢を叶える手伝いができたっていう経験。それが一番の財産だったんだ。

最後に家を引き渡す時のお客さんの、あの嬉しそうな笑顔。あれを見るために、僕らは頑張ってたんだなって、今でも思うよ。

もしあなたが自分の家をリフォームするなら、一番こだわりたいポイントって何ですか?「キッチンだけは絶対譲れない!」とか「猫が喜ぶキャットウォークが欲しい!」とか、ぜひコメントで教えてください!

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