ステンレス水栓の使い分け:キッチン・洗面・浴室での選び方と機能別の適材適所

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なんとなく、水栓のことを考えていた。ステンレスの、水栓。丈夫で、清潔。そんなイメージ。でも、それだけじゃない気がする。キッチン、洗面所、お風呂。場所が違えば、求められるものも違うはずだ。じゃあ、どう選ぶのがいいんだろう。そんなことを、つらつらと。

なぜ、わざわざステンレスを選ぶのか

まず、そこからだよね。よくあるキラキラした水栓、あれはだいたい真鍮にクロムメッキを施したもの。 それに対して、ステンレスは素材そのものがステンレス。無垢、というやつだ。

一番大きいのは、やっぱり安全性かな。従来の銅合金製の水栓だと、鉛がわずかに溶け出すことがあるらしい。 ステンレスは鉛を含まないし、有害物質の溶出が極めて少ない。 毎日口にする水を扱う場所だから、これは、結構大事なことだと思う。

あとは、耐久性。ステンレスは銅より硬くて傷がつきにくい。 家のシンクとか、スプーンとか、長年使ってもピカピカなことが多いでしょう。あの感じ。ただ、絶対に錆びないわけじゃない。 もらい錆とか、手入れを怠るとくすんでくる。それでも、メッキが剥がれて下地が見える、なんてことにはならない。そこがいい。

日本のメーカーはあまり作ってなくて、世界的に見ても普及率はまだ1%未満らしい。 開発にコストと時間がかかるから、多くのメーカーが撤退した過去もあるんだとか。 だからこそ、こだわりを持って作っているメーカーのものが多い印象だ。

場所別に見る、適材適所

じゃあ具体的に、場所ごとにどんな機能が必要か、考えてみる。

キッチン:作業効率を左右する「相棒」

キッチンは、もう、戦場だ。だから、水栓は「相棒」みたいなもの。ここで一番大事なのは、たぶん「可動域」。大きな鍋を洗ったり、シンクの隅々まで掃除したり。だから、シャワーヘッドが引き出せるプルアウトホースは、ほぼ必須じゃないかと思う。

それから、吐水の切り替え。野菜を洗うときは優しいシャワーで、こびりついた汚れを落とすときは真っ直ぐなストレート水流、みたいな。 片手で操作できるシングルレバーが主流だけど、最近はタッチレスも増えてきた。 手が汚れていても水の出し止めができて衛生的だけど、停電の時どうするの?とか、誤作動しない?とか、考える点もある。

キッチンの主役、引き出し式ステンレス水栓
キッチンの主役、引き出し式ステンレス水栓

仕上げは、個人的にはヘアライン仕上げかブラッシュ仕上げがいいかな。鏡面仕上げは美しいけど、指紋や水垢が目立ちやすい。 毎日ガシガシ使う場所だから、少しでも手入れが楽な方が、精神的に良い。

洗面所:デザインと使い勝手のバランス

洗面所は、顔を洗ったり、歯を磨いたり、お客さんが手を洗ったり。意外と人に見られる場所だ。だから、デザイン性は結構重要。

壁付け水栓、すっきりしててオシャレだよね。 根本に水が溜まらないから掃除が楽っていうメリットがある。 でも、手を洗って濡れたままレバーを操作すると、結局カウンターに水がポタポタ落ちる、なんていう声も聞く。 あと、子供にはレバーが遠くて使いにくいこともあるらしい。

もう一つ大事なのが、吐水口の高さと長さ。低すぎると顔を洗うときに屈まないといけないし、逆に高すぎたり、ボウルとの相性が悪いと水が跳ねて周りがびしょ濡れになる。このバランスが難しい。

静かな佇まいの洗面所と壁付け水栓
静かな佇まいの洗面所と壁付け水栓

洗面所なら、シンプルな固定式の単水栓でもいいかもしれない。 でも、冬の朝にお湯が使えるとやっぱり嬉しいから、シングルレバー混合栓が現実的かな。

浴室:何よりも「安全性」と「快適性」

お風呂は、リラックスする場所。だから、水栓に求められるのは、まず安心感。急に熱いお湯が出たり、冷たい水になったりするのは絶対に避けたい。だから、温度を一定に保ってくれるサーモスタット混合栓が基本になる。

シャワーの浴び心地も大事。最近は節水タイプでも、空気を含ませて勢いを出したり、心地いい刺激を工夫したりしている製品が多い。

ステンレスは、石鹸カスや水垢が付きにくいという点でも浴室に向いている。掃除の手間が少しでも減るのは、ありがたいことだ。

ちょっとマニアックな話:素材と海外製のこと

水栓に使われるステンレスは、主に「SUS304」という種類。 耐食性や加工性のバランスが良くて、ステンレス生産量の6割以上を占めるほど普及している素材だ。 もっと耐食性が高いSUS316というのもあるけど、硬くて加工が難しいからか、水栓ではあまり見かけない。

それと、海外製のデザイン、やっぱり惹かれるものがある。でも、安易に手を出すと「失敗した…」となりかねない。特に注意したいのが「水圧」。 ヨーロッパは日本より水道の水圧が高いことが多くて、それに合わせて水栓が作られている。 だから、日本の一般的な家庭、特にマンションの高層階とかで使うと、水の出がちょろちょろ…なんてことも。購入前に自宅の最低必要水圧を確認しておくのが大事。

もう一つが配管の規格。日本の規格はだいたいG1/2というサイズで統一されているけど、海外製品だと合わないことがある。 もちろん、変換アダプターを使えば接続できるけど、余計な手間とコストがかかる。正規代理店から買えば、そのあたりを日本仕様にしてくれていたり、保証がしっかりしていたりするから安心感はある。

水栓の表情を決める、素材と仕上げ
水栓の表情を決める、素材と仕上げ

結局、どう選ぶ? 選び方のポイントを整理してみる

自分なりに、場所ごとの選び方をまとめてみた。まあ、草案みたいなものだけど。

場所 重視したい機能 おすすめの形状 ちょっとした注意点
キッチン やっぱり、引き出せるシャワーホースかな。 シンクの掃除が本当に楽になる。あと、手元での吐水切り替え。 シングルレバー混合栓。予算が許せば、センサー付きのタッチレスも便利そう。 デザインだけで選ぶと後悔しがち。ショールームとかで、実際にホースの長さや重さを確認した方がいいかも。
洗面所 ボウルとのバランス。水が跳ねない高さと吐水口の長さが大事。あとは、見た目のすっきり感。 シングルレバー混合栓。壁付けにするなら、水垂れ対策を考えておく。 子供がいるなら、レバーが操作しやすいか、という視点も必要。 意外と見落としがち。
浴室 絶対、サーモスタット機能。 温度が安定してるだけで、お風呂の快適さが全然違う。あとは節水シャワー。 サーモスタット混合栓一択かな。洗い場が狭いなら、スパウト(吐水口)が短いタイプを選ぶと邪魔にならない。 シャワーヘッドだけ後から交換することもできる。だから、まずは本体の基本性能をしっかり見極めるのが良いと思う。

まとめ、というか今の気持ち

こうして考えてみると、「ステンレス水栓」と一括りにはできないな、と改めて思う。場所ごとに求められる役割が全然違う。キッチンでは頼れる道具として、洗面所では空間を彩るアクセントとして、そして浴室では心と体を預けるための安心装置として。

50年を目指せる耐久性、なんて話もあるけど、実際には10〜20年で中のパッキンやカートリッジは交換が必要になるだろう。 でも、それでもいい。ちゃんと手入れをして、一部を交換しながら長く付き合っていく。ステンレスという素材は、そういう付き合い方が似合う気がする。

結局、完璧な正解はない。自分の暮らしの中で、何を一番大切にしたいか。それを見つけるのが、一番の近道なのかもしれない。

ちなみに、あなたがキッチン水栓に「これだけは譲れない!」っていう機能は何ですか?やっぱりシャワーホース?それとも浄水機能?よかったら、コメントで教えてください。

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